カオハキ

日記

日常の崩壊

ある日、友人から電話がかかってきました。

 

「悪いけど、今から家来れる?」

話を聞くと、マンションの自室に薬剤を撒くことになって、貴重品を避難させたいので預かって欲しいとのことでした。薬剤って何だよとか今はなるべく会いたくないとか面倒くさそうだとか色々思ったのですが、どうも切羽詰まった感じだったので、とりあえず行ってみることにしました。幸いその時は暇だったので、すぐに家を出ました。

 

着いてみると、友人が知らない人と一緒にマンション前で待っていました。

知らない人は薬剤を撒きに来た業者の人で、どうして薬剤を撒くのかというと部屋に虫が湧いたからだそうです。

その虫はかなり厄介な虫で、市販の薬が効かない上に繁殖力が強いので、業者を呼ぶしかなかった。そういう話を友人がしてきたので、僕は帰りたくなりました。繁殖力が強くて殺虫剤で殺せない虫が繁殖している部屋には入りたくない。そう思うのは普通の感覚でしょう。

 

とはいえ本当に帰るほど非情にもなれず、部屋に上がって貴重品を受け取ることにしました。

なんでも、駆除作業は1週間に1回のペースで計3回しないといけなくて、その間はまだ虫が生きているかもしれなくて居たくないから、ずっと部屋を空けておくつもりらしいです。

ちなみに、貴重品というのは主に遊戯王カードです。大量にある上、洒落にならないくらい高額なものが混ざっているので、そのままにしておくわけにはいかなかったそうです。

 

彼がカードをまとめたりしている間、僕は色々思っていました。

段取りが悪いので業者の人を結構待たせているし、荷物をまとめる袋とかカバンも用意してないし、そのくせ551の豚まんは買ってあったりしたので、その辺を全部指摘したかったのですが、彼の放った「駆除費用に21万円かかる」の一言で何も言えなくなりました。*1

 

黙って作業を手伝い、一旦貴重品を手に外へ出た僕たちは、業者が1回目の駆除をしている間、近くで時間を潰すことにしました。

状況を整理したり虫の生態を調べたりしている中、彼は僕に一つの質問をしてきました。

 

「ひろすけってさ、ルームシェアとか好き?」

 

このブログを読んでいる人は何となく気づいているかもしれませんが、僕は共同生活というものが嫌いなので、はっきり「嫌い」と答えました。

見知らぬ他人よりはマシですが、それでも嫌なものは嫌です。しかも虫が付いているかもしれない遊戯王カードがセットで来るのですから、たまったものではありません。虫に部屋を追い出されて気の毒ですが、ここは心を鬼にして断りたいところです。

 

それでも食い下がってきたので、別の宿泊先を提案したりもしました。

彼は実家がわりと近くにあるので、帰るのがいいんじゃないかと薦めました。一人暮らしを始めてから体調が良くないとか言っていたのでちょうどいい機会だと思ったし、実家なら気を遣う必要もなくて楽でしょう。しかし、「最近母親の咳がひどいらしくて……」と必殺の一撃を出してきたので、また何も言えなくなりました。

結果的に違ったっぽいのですが、とはいえリスクがゼロになったわけではないですし、逆に両親にうつしてしまう可能性もある以上、実家に帰らせるルートは考えないほうがいいでしょう。まさかこんな形でコロナウイルスに追い込まれるとは思っていなかったので驚きました。

 

そういうわけで、断れませんでした。

もう数日経ちますが、今も家にいます。一応会社の後輩とかにも声をかけているらしいのですが、「たまに泊まるならいい」くらいの感じで、基本は我が家がメインです。

結局引っ越すことにしたらしいので、新しい部屋が見つかるまで居つく感じになってしまいました。

 

僕自身については、最初は虫が湧いたらどうしようと考えすぎてかなり神経質になっていましたが、できるだけのことはしたので、今は落ち着いています。ルームシェアにもちょっと慣れました。あと、狂ったように掃除をしたので部屋が綺麗になりました。

虫が湧いたら終わりですが、それまでは元気に過ごせそうです。

*1:後日やりとりして、結局半額くらいになった