カオハキ

日記

臭い傘

今日は歯医者の予約をしていたので、朝から出掛けました。

 

雨が降っていたので、部屋の前の廊下に置いていたビニール傘を持って行ったのですが、マンションを出て傘を開いた瞬間に異臭がしてビックリしました。

ここ数ヶ月ビニール傘を使う機会がなかったので気づかなかったのですが、半屋外の廊下に放り出してあった傘は雨風に晒されて汚れまくっていたのです。錆びた金属の臭いに生臭さを足した感じの悪臭が漂ってきて、傘ってこんな臭いになるんだ、という発見がありました。しかも、よく見ると内側の奥の方には蛾の死骸が張り付いていました。

臭いだけならともかく、蛾の死骸が張り付いている傘はドロヘドロの世界じゃないと使えないので、仕方なく近くのコンビニで新しいのを買いました。新品の傘は、当たり前ですがキレイで、臭い傘とは雲泥の差がありました。

臭い傘の方は、マンションの自室まで置きに戻るのが面倒だし、2本持って歩くのも面倒なので、どこかで処分することにしました。といっても、傘を捨ててもいいゴミ箱なんてないので、適当なお店の傘立てに突っ込んで二度と回収しない、という作戦を考えました。傘立てに突っ込んで立ち去るだけだとバレて怒られるリスクが高いので、一回入店して、店を出る時に新品だけ回収することにしました。これなら、気付いた店員に指摘されても「いや、忘れてただけですけど」とムカつく顔で言い返せるので、完璧です。

というわけで歯医者に向かう途中のコンビニで実行しようとしたのですが、実際にやるとなると、想像以上に良心の呵責に苛まれてしまいました。入店したついでに買い物をしたらレジで店員と目が合って、そのせいで「この人に臭い傘を処分させるのか……」と考えてしまい、結局そのコンビニではミンティアを買っただけで終わりました。仕方なく、歯医者には傘2本を持って入りました。

 

歯医者で無事治療を終えたら、今度はやるべきことをやるためにコワーキングスペースに向かいました。道中、臭い傘を捨てても良心が痛まないゴミ箱みたいな店がないか探してみたのですが、そんな店はあるはずもなく、もう無理だなと思って、傘を捨てるのは諦めました。僕は善人なので、普通に持って帰って家で捨てることにしました。

諦めたので、傘2本持った状態で電車に乗り込んで移動したのですが、臭い傘は開いてない状態でも若干臭いので、ちょっと焦りました。でも臭さはどうしようもないので、「臭い傘持っててすまん!」と周りの人に心の中で謝罪して過ごすしかありませんでした。

 

コワーキングスペースに着くと、傘2本を入り口の傘立てに突っ込んで、作業を始めました。傘のことはいったん忘れてちゃんとやったので、まあまあ捗りました。

6時間くらい経った辺りで、そろそろ帰ろうと席を立ち、レジに向かいました。そしてお金を支払って傘立てを確認すると、僕の傘が2本とも無くなっていました。

その代わり、僕が買った傘と同じような見た目の、ちょっと使い古された傘が1本ささっていました。新品の傘と臭い傘を合成したらちょうどこれくらいになるかな、という感じの傘でした。

きっと、この傘の持ち主が、僕の新品の傘を間違えて持って帰ってしまったのでしょう。そして臭い傘の方は、普通にパクられたのでしょう。そう思って納得して、ちょっと使い古された傘を持って帰りました。

新品の傘をその日に失ったのは悲しいですが、臭い傘を持って帰る手間が省けたので良しとします。